「白星を上げる」と「挙げる」の違いは?意味と相撲の語源・例文を徹底解説
大相撲中継やプロ野球のニュース、さらにはビジネスの現場でも「白星をあげる」というフレーズは日常的に使われています。しかし、いざパソコンやスマートフォンで文章を作成する際、「上げる」と「挙げる」のどちらの漢字を選ぶべきか迷った経験を持つ方は少なくありません。
言葉の本来の意味や起源を知ることは、単なる漢字の書き分けにとどまらず、ビジネス文書や公式な発信における信頼性を大きく左右します。本記事では、大相撲の歴史に端を発する語源から、新聞・メディアが採用する表記基準、対義語や誤用しやすい類似表現まで、客観的な事実と用例をもとにわかりやすく整理してお届けします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「白星をあげる」は勝負に勝つことを意味し、公用文や新聞表記では「成果・実績」を意味する「白星を挙げる」が標準。
- 要点2:語源は大相撲の勝敗記録である「星取表」で、勝者に白い丸印(〇)、敗者に黒い丸印(●)を付けた江戸時代の慣習に由来。
- 要点3:「白旗を上げる(降伏)」との混同や、「白星を上げさせてもらう」といった不自然な敬語表現に注意が必要。
【意味と漢字表記の違い】「白星を上げる」と「白星を挙げる」どちらが正しい?
「白星(しろぼし)をあげる」とは、取組や試合を制して勝利を収めることを指します。日常の会話やインターネット上の記事では「白星を上げる」という表記が頻繁に見られますが、新聞社や放送局、公用文の用字用語基準に照らし合わせると、本来は「白星を挙げる」と書くのが正確です。
日本語の使い分けにおいて、「上げる」は「位置や価値を高める(例:手を上げる、給料を上げる)」や「外から中へ移動させる」場合に使われます。一方で「挙げる」は「明確に示す、成果や実績を収める(例:利益を挙げる、検挙する、全力を挙げる)」という文脈で用いられます。白星は「勝利という具体的な実績・成果」に該当するため、用字用語辞典(共同通信社や朝日新聞社の表記基準)では一貫して「挙げる」が採用されています。
民間企業の広報文やビジネスメールにおいて「白星を上げる」と表記しても文脈上意味は通じますが、格調高い公の文章やプレスリリースを作成する際は「白星を挙げる」または「勝ち星を挙げる」と表記することが、知的な印象を保つための基本ルールです。

【相撲・江戸の歴史】「白星」の語源と大相撲・プロ野球へ広まった背景
「白星」という言葉のルーツは、日本の伝統国技である大相撲の「星取表(ほしとりひょう)」にあります。江戸時代の相撲興行において、勝敗の記録をつける際に勝った力士の名の上に「〇(白丸)」、負けた力士の名の上に「●(黒丸)」を墨で書き込んだことが直接の語源です。
なぜ勝敗の印を「星」と呼んだかについては諸説存在します。古代中国の陰陽五行思想や天文学において星が吉凶を占う指標であったことや、夜空に輝く星が白く澄んでいることから「勝ち=縁起が良い=白星」、土がついて汚れた様子や闇夜を連想させる「負け=不吉=黒星」と見立てたという説が有力です。
明治から昭和にかけて大相撲の人気が全国へ拡大するにつれ、この表現はプロ野球をはじめとする近代スポーツ全般の用語へと浸透していきました。プロ野球の投手成績で「今季10勝目となる白星を挙げた」「開幕戦で黒星を喫する」といった言いまわしが定着したのは、相撲文化が日本の勝負事のスタンダードとして深く根付いていた証拠です。
【データ比較表】「白星」にまつわる慣用表現と類似語・対義語の完全整理
言葉の解釈をさらに深めるため、「白星」に関連する主要な表現、漢字表記の基準、対義語、および利用シーンを一覧表で整理しました。
| 項目・表現 | 詳細・用字表記の基準 | 対義語・関連語 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 白星をあげる | 公用文・メディアでは「挙げる」が正則。 「成果を収める」意味合い。 | 黒星を喫する (負けを味わう・敗北) | 一般表記の「上げる」でも通じるが、ビジネス公文書では「挙げる」が推奨される。 |
| 勝ち星をあげる | 白星の同義語。複数回の勝利を積み重ねるニュアンスが強い。 | 黒星が先行する (負け越しの状態) | スポーツ報道で極めて汎用性が高く、客観的な勝敗数を示すのに適している。 |
| 白星を飾る | 華々しく勝利を収めること。「初陣を白星で飾る」などに使用。 | 土がつく (無敗が途切れる・汚名) | 記念試合や節目となるイベントの成功を祝う情緒的な表現として好まれる。 |
| 白星スタート | シーズンやプロジェクトの初戦で勝利して好発進すること。 | 黒星スタート・出遅れ (初戦でつまずく) | ビジネスの四半期初頭や新体制の初動評価などでも比喩として広く定着。 |
| 白旗を上げる | 【要注意】降伏・敗北を認めること(白旗を掲げる国際慣習)。 | 徹底抗戦する (最後まで戦う) | 音が似ているが意味は真逆。勝負に勝った場面で使うと致命的な誤解を生む。 |
【ビジネス・実務での活用】「白星スタート」「白星を飾る」の正しい例文と誤用のリスク
近年、スポーツ用語であった「白星」は、企業の営業活動やプロジェクトマネジメントといったビジネスシーンにおける比喩表現としても活用されています。競合他社とのコンペ勝利や大型受注の獲得、新規事業の立ち上げ成功などを「白星」に見立てる用例です。
実務で使える自然な例文集
- 大型コンペでの勝利:「数社が参加した自治体のDX推進案件プロポーザルにおいて、見事に白星を挙げた。」
- 期初・新規プロジェクトの好発進:「新年度の第1四半期は目標達成率120%を記録し、幸先の良い白星スタートを切ることができた。」
- 節目での成功:「新設された海外営業拠点の初年度は、黒字化達成という白星で飾ることができた。」
最も注意すべき「白旗を上げる」との取り違え
オンラインのQ&Aサイトや若手社員の研修レポートなどで散見されるのが、「白星を上げる」と「白旗(しらはた)を上げる」の混同です。「白旗を上げる」は国際法や戦時慣習において降伏・降参を宣言する行為を指します。勝負に勝ったことを報告するつもりで「今回の交渉で白旗を上げることができました」と発言すると、正反対の「全面降伏した」という意味になってしまい、重大な誤解を招きます。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「白星を上げさせてもらう」の違和感
ネット上の質問掲示板などで「『白星を上げさせてもらう』という使い方は正しいか?」という議論が交わされることがあります。結論から言えば、この表現は日本語として極めて不自然であり、避けるべき言いまわしです。
「〜させてもらう」は相手の許可を得て恩恵を受ける使役・謙譲の表現です。しかし、真剣勝負である試合やビジネスコンペにおいて「勝たせてもらう(相手の情けで白星を拾う)」というニュアンスを含ませることは、相手に対する礼儀を欠くだけでなく、八百長や馴れ合いを連想させかねません。対戦相手への敬意を示す場合は、「胸を借りるつもりで挑み、幸いにも勝利を収めることができた」「皆様のご支援のおかげで白星を挙げることができた」と言い換えるのが適切です。
【プロの結論】言葉選びで失敗しないための判断基準
勝敗や成果を言葉にする際、発信者の立ち位置と文章の格調によって選ぶべき語彙は異なります。
- 公的なプレスリリース・ビジネス文書:「白星を挙げる」「勝ち星を挙げる」「受注を獲得する」など、成果を明確にする表現を選択。
- カジュアルな社内チャットやスピーチ:「白星スタート」「白星で飾る」などの表現でチームの士気を高める。
- 相手への配慮が必要な場:過度な勝ち誇りを避け、「競合との健全な競争を通じて成果を収めることができた」と客観的な表現に留める。

【白星を上げる】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「白星」の対義語は何ですか?
A1:明確な対義語は「黒星(くろぼし)」です。試合に負けることを「黒星を喫(きっ)する」「土がつく」と表現します。また、勝敗数が同じ状態を「五分(ごぶ)」、勝ちが多い状態を「勝ち越し」、負けが多い状態を「負け越し」と呼びます。
Q2:「白星をあげる」は「白星を飾る」や「白星スタート」と言い換えても同じ意味ですか?
A2:根本的な「勝つ」という意味は同じですが、使われるニュアンスが異なります。「白星を挙げる」は単なる1勝の獲得を淡々と表すのに対し、「白星を飾る」は初戦や引退試合など節目の勝利を華やかに讃える際に使います。「白星スタート」はシーズンや期間の初戦を勝利で始めることを指します。
Q3:なぜテレビのテロップや新聞では「白星を挙げる」と表記されるのですか?
A3:新聞社や放送局が準拠する『記者ハンドブック』等の用語集において、「上げる」は物理的な上昇や移動、「挙げる」は実績・成果の獲得や具体例の提示と使い分けが定められているためです。「白星」は勝利の実績であるため、「挙げる」が統一表記となっています。
Q4:英語で「白星を挙げる」を表現したい場合はどう言いますか?
A4:英語には「白星」を直訳する単語はないため、「win a game(試合に勝つ)」「score a victory(勝利を収める)」「record a win(1勝を記録する)」といった表現を使います。完封勝利であれば「shutout victory」などと表現されます。
まとめ:勝利を象徴する言葉の真価とスマートな言葉遣い
「白星をあげる」という言葉は、相撲の星取表という日本独自の伝統文化から生まれ、プロ野球をはじめとするスポーツ界、さらにはビジネスの現場へと受け継がれてきた豊かな表現です。
日常のやり取りでは「白星を上げる」と書くことも一般的ですが、公の場やビジネス文書では「白星を挙げる」という表記を用いることで、言葉の正確さとプロフェッショナルとしての信頼感を示すことができます。また、「白旗を上げる」との取り違えを防ぎ、文脈に合わせた自然な語彙を選択することが、スマートな大人のコミュニケーションにおける第一歩となります。 (出典: 白星を上げる(Yahoo!ニュース))